キャプテンハーロック

なんと、あのアナクロなダンディズムに溢れた宇宙海賊キャプテンハーロックが21世紀になってまさかの復活。
やっぱアレ?世の中の海賊ブームにいっちょ乗ろうとかそういうの?(ちなみに制作の東映動画は『ワンピース』のアニメ化を長年手がけている)
で、元セガのCG部門だったマーザ・アニメーションの処女作、ということで、現時点でのリアル系CGアニメの本邦トップクラスの映像なんではないかと思う。
マンガ記号の塊のようだったトリさんやミーメ、そして特にヤッタランなど、ちゃんと松本零士キャラにも見えて、生きているキャラにも見えるのはかなり感心した。セルシェーディングではない、マンガアニメからの記号移植として、特殊メイク系とも違った新たなアプローチを見せてくれる。また、キャラクターが壁にぶつかった際の表現など、モーションキャプチャーを使ってないんだろうなぁ、といういくつかのカットに違和感を感じたものの、さすがゲーム屋のノウハウと言うべきか、動きに弱点の多い和CGアニメにおいて一線を画した演技を実現できていたと思う。反面、やっぱり荒牧監督の陳腐で平板な演出が目立ち、もうちょっとカット割りや殺陣や演技の設計で何とかならんかったのか、と思ってしまうシーンも、ドラマシーン、アクションシーンともに目に付いたのは残念。これはある意味、日本のCGアニメが世界水準になるための課題が明確になったということでもありそう。
お話は、なんだかガンダムUCにそっくりだなぁ、と思ったらまさかの福井晴敏。すっかりアナクロになってしまったハーロックを「胡散臭いもの」として描きつつ、しかし「ハーロック的なもの」の継承を描くというなかなかにネジレた作り。はっきり言ってお話の展開はぜんぜん繋がってないしご都合主義まみれなんだけどテーマ的には一貫しているあたり、近年の『ダークナイト』や『スカイフォール』っぽくもあり、まぁ、その意味では、イマドキのグローバル向け映画らしくもある。セリフばかりで説明する脚本自体の出来は良くないが、ハリウッド映画大好きな福井晴敏の起用が成功した数少ない例なんでは。
日本では大コケらしいけど、期待しなければ悪くない映画なので、もう少し観られていい作品じゃないかと。