THE ビッグオー

バンダイチャンネルにて。ほとんど初見だが、メインスタッフはジャイアントロボ終了直後の同作スタッフ(監督とPD除く)ということもあり、かなり安定して観られる。ハードボイルドぶってるがウカツすぎる主人公、どう見てもアルフレッドな執事、アニメならではのアンドロイド美少女に、ルパンみたいなお調子者泥棒と、「世界の謎」を一足先に探り当てて狂ってしまった新聞記者など、キャラクターもいい。声優たちの熱演、オマージュだらけだが燃える劇伴、ロボアクションもここぞというところでたっぷり見せてくれる。
…というわけで楽しい娯楽大作なのだが、シリーズ後半、「世界の謎」を主人公が追っかける話になってからその魅力は急速に失われ、まさかの「演者による作者へのネゴシエーション」オチで完全に鼻白んでしまった。これ、実写ならまだしもアニメで「虚構の中のキャラクターが絵で描かれた作者に訴える」をやられても、虚実混交を狙うメタフィクションというよりは「これ、絵だし…そもそも作り物だよね…」という完全な断絶を見る者に与えてしまったんじゃなかろうか。この部分はジャイアントロボには参加していない小中千昭のテイストだと思うので、監督が自作の魅力を理解できてなかったが故の悲劇だと思う。
すでに20年近く前の作品だが、一見すると(ジャイアントロボ同様)時代に流されないスタイルを持っているようで、その実相当に当時のエヴァブームの影響を引っかぶってしまった残念な作品。個人的には、第2シリーズは何事もなく始めてラスト2話くらいでするっと第1シリーズのラスト前後に繋げて、オチは5つくらい用意して「お好きな終わりをどうぞ!」と投げてしまったほうが良かったんじゃないかと思う。そうすればどんなオチからでもつなげられるしな!レッドドワーフみたく!!