仮面ライダー 1971-1973

同僚に借りまして。
1971年当時を舞台に、本郷猛が「仮面ライダー」になる過程をリアルタッチで描く…というコンセプト。ちょっと平成アニメ版『鉄人28号』にも似てる。
なかなか面白かったが、面白さのほとんどはやっぱり原作への目配せが上手くいっている部分で、特に、原作の1号2号を1号0号として再構成し、マフラーに意味づけするあたりが一番盛り上がった。あとはそれほどでも…というか、オリジナルの最終章がかなり蛇尾な感じを高めてる。
1971年当時が舞台、というのもイマイチ有効に機能しておらず、事件や風俗がただカタログ的に(wikipedia的に)羅列されるだけで、本編にはほとんど関係してこない。あさま山荘事件と同時並行のストーリーなどは、もっと事件と積極的に絡める伝奇的アプローチができたはずだし、ていうかそもそもそういう面白さを出すために当時を舞台にしたんじゃないの?違うの?となんか悲しくなってしまった。作者はけっこう若くて、当時を知らないんじゃないだろうか。エヴァとかスパイダーマン的なセリフやテーマが出てくるし、設定の矛盾を「大きなウソ」じゃなくて「細かい(架空)設定」で整合性とろうとする士郎正宗イズム、なんかラストはアポロガイスト的なやつとのサシ*1だし。作中でもショッカーの存在意義を掴みあぐねて、あげく敵をGODに取っ替えてしまったのも残念。石森じゃなくてガンダムみたいなテーマになっとるし。
とはいえ、「自分にとって見たいライダー」がどんなものかがこの本に教えられたように思う。
たとえば、赤軍の武闘派幹部だった本郷が赤軍内部の派閥争いでショッカーに売られて、改造された本郷が重信房子を地獄の果てまで追い続けるとか。もちろん本郷は重信に惚れてた設定。ヒドイ。
あと、ショッカーの正体ももっと地に足がついて欲しい。テロ・サボタージュのノウハウの世界的コンサル業でいいと思う。世界征服なんて滅相もない。
…とか、この本をサカナに「俺ライダー」を妄想できるので、昭和ライダー世代にオススメです!(←タマフル…?)

*1:ガッコの映研メンバーならバカウケだったろう