機動戦士ガンダムUC 10巻(最終巻)

うーん、読んでる間は先が気になったし、正直とても楽しませてもらったが、これってこんな長い話である必要あったのかなぁ? 結果的にほとんど使われなかった、もしくは元の鞘に戻っただけのピースが多すぎない?
Op.ローズダスト』から続いているはずの、ニュータイプ論への決着も、「これをやったらもう『ガンダム』じゃない」キワキワ*1を攻めた割には、大胆なのは振り幅だけで、とんでもなく常識的な、ニュータイプどころか古くさいとさえ思える落としどころには正直かなり落胆した。

そう考えると、やっぱ『イデオン』に比べて『ガンダム』って枷が多いんだな。宇宙人を出してもいけないし、先史文明を出すのもダメ*2、人類進化テーマだけど、使える時間軸の幅はせいぜい100年がとこだから、生物としての進化は実はそんなに描けない。あと、『イデオン』と違って世界全部を崩壊させる超兵器もしくはそれに準ずるものがないから、お得意の全滅エンドでもテーマは完結しない*3

とはいえ、振り幅としての『ユニコーン』独自の展開は50年代黄金期のSFのような生真面目さで、これが『ガンダム』でさえなかったら、「ガンダム風世界の福井解釈SF」として、苦笑しつつも「これはこれで」と納得できたかも。惜しい。

それともアレか、本気でニュータイプ論に決着をつける『ガンダム』が出てきたら『ガンダム』は終わっちゃうからこんなオチになったとかか。企業戦士バンナム

*1:人によってはアウトだろう

*2:∀はそれまでのシリーズを先史文明にする、という裏技

*3:ということは、世界自体を消滅させた『イデオン』以降の全滅エンドはじつはあまり意味がなかった、ともいえる