三鷹の森 ジブリ美術館

夏休みらしく、かみさんに連れられてジブリ美術館へ。地図を見る限り三鷹も吉祥寺も同じくらいの距離なので、電車で行きやすい吉祥寺ルートで。
案内看板などがホント少なく、不安に駆られながらも何とか到着。パンフによると、美術館自体は日テレ出資で三鷹市の所有のため、武蔵野市である吉祥寺に利するよーなマネはしないらしい。いやいや、お役所だからといって中立性とか言ってらんない時代のナマグサイ現実を初っ端からよく見せてくれる。さすが日本を代表する美術館だけのことはある。やっぱココも鈴木Pが「ヒットするようタイトルに"の"を入れましょう」とか言ったんだろーか。
展示では、粘土で作ったと思われる立体ゾーエトロープが面白かった。ここまで手間のかかった立体アニメはちょっと他ではお目にかかれない。ウォレスとグルミットかと思ったよ。
短編映画は『コロの大さんぽ』。この主人公の「コロ」ってのは「犬っコロ」の「コロ」だな、絶対。宮崎駿がなんも考えずに手癖だけで映画作るとこーゆーのになる、という感じの箱庭冒険もの。ものすごく圧縮された『魔女の宅急便』にも見える。音楽が『夢見館の物語』の野見祐二なのだが、うちの娘はじめちっちゃい子がビービー泣いてる*1館内では音楽を堪能する贅沢はできなかった。
ちょうど開催中のポニョ展では、原画枚数15万枚、動画枚数20万枚、と紹介されていた。上映2時間に対しての動画枚数といい、動画に対する原画枚数の比率といい、やっぱジブリは別格だなぁ、と思い知らされた。
全体に、宮崎駿のヨーロッパ趣味が館内の随所に見られ、改めてジブリの特殊性を感じた。なぜあれほどまでにヨーロッパ志向なんだろう。高畑、宮崎以外のこの世代のアニメ作家には見られない特徴だから、東大仏文学科卒の高畑勲の影響と考えるのが妥当なところだろうか。
そーいや高畑勲は冨野ともどもどこぞで賞をもらっていたが、その冨野も高畑の弟子筋といえる*2し、なんかもうすっかり後進(といっても年はあまり違わない)の育成こそが高畑の最大の功績、みたいなことになってるよーな。皮肉なことに、「ジブリ」美術館のワリに宮崎駿作品ばかり取り上げられるここでは、受賞したばかりの高畑勲作品の存在感は限りなく0だった。商業主義というか結果主義というか、なんだかんだでけっこう「夢」とか「感動」より「金」とか「現実」とかを考えさせられる施設だったなー。オススメ。

*1:宮崎駿ナチュラルに突っ込むスリルが、3〜4歳児にはガチすぎたりして

*2:富野の「自分は学がない」「この程度では演出とはとても言えない」とかのコンプレックスにまみれた発言の数々は、どーも高畑に向けられてるような気が