バンテージ・ポイント

この感じ、なんかに似ている…と思ったら、『街』とか『428』とかのサウンドノベルだ。特に同じ事件を多方面から描く構成の『428』と『バンテージ・ポイント』は、制作時期を含めて双生児の関係にある。
ウォッチメン』『ダイ・ハード4.0』でも思ったが、こちらも相当に「引用」で映画が作られている、と感じた。デニス・クェイドの役柄は、設定から演出から何から何までペーターゼンの『ザ・シークレット・サービス』と同じ、時間の巻き戻し演出は『メメント』、途中でシーンを切って主人公チェンジでリスタートは『レザボア・ドッグス』とその元ネタの『現金に体を張れ』、同じシーンを視点パラレルで何度も見せるのは『羅生門』、カーチェイスは『RONIN』や『ボーン・スプレマシー』、といった具合。
脚本は、フォレスト・ウィテカーがあまりにもアグレッシブな「動けるデブ」っぷりを発揮するのと、ヤツの目の前にばっかり事件のキーが転がりまくる凄まじいご都合主義っぷり*1さえのぞけば、アクション映画の脚本としてはけっこう良くできてる。演出も最初のTVクルーのシーンとか不安になったが、こちらも全体にそつがない。
問題はやっぱオリジナリティだなぁ。特に驚くところが何にもない。オチのあっけなさくらいか。映画作家のクサミを感じさせない、ものすごく職人芸の映画なのかもしれない。

*1:あの少女を気に入ってストーキングしてました、って方が納得できたかも。裏フォレストのほうで