自虐の詩

なぜか会社の人が貸してくれた。
業田良家、つったらヤンマガでやってた『ゴーダ君』をリアルタイムで読んでたくらいで、はじめのうちは「バキ*1」とかのオチが懐かしーなー、とか思いながら読んでいたら…
結構こたえた。
なんだこりゃ!? ここまで行けるのか。主人公の「人生」丸ごと(といっても35年分くらいか?)を四コマギャグマンガの体裁を保ったままで、鮮烈に紙面に刻み込むことに成功している。「後付けで、キャラクターに<過去>を与えていく」という手法自体はどんな作品にでも応用が利く*2オーソドックスな手口だが、それをきちんと矛盾なく(ここ重要)積み重ねることで、別にハッピーエンドでもなんでもないラストに、これほど心動かされるとは! 母への手紙とか、明らかに作者の主張そのものである異質な文章まであるのに、それまで積み上げた鉄壁のキャラ構築のもつ<歴史>の重さが、些細な違和感を圧倒してしまう。この感動は、完全に大河ドラマのそれ。
よく知らなかったが、四コママンガ史上最高傑作とまで言われてるそうで。確かにどえらい傑作。
現実からの飛躍*3も少なく、泥臭く、愚かで、理不尽な、いってしまえばあまりにもリアルな「生活人の人生」をそのままのの形で抉り出し、賛美するスタイルはクストリッツァの諸作を思い起こさせる。

*1:業田マンガのオチでよく使われる。『なぜか笑介』の「ズッ!」と並ぶ、俺内2大コケ擬音。当時のヤンマガ読者プレゼントの「バキ」Tシャツとか懐かしい…

*2:例えばルパン三世における『カリオストロの城』など

*3:幸江の父の銀行強盗くらいか