宇宙戦争

なんじゃこりゃ…。
基本的に、「残虐行為手当て大好きなスピルバーグが、9.11以降とかなんとかウマイ口実見つけて好き放題ヤっちゃった」映画。
あれ、でもストーリーはデタラメだけど、そんな好き放題でもないか? つまらない部分で原作(ウェルズじゃなくて、1953年のジョージ・パル版)に忠実なシーンが満載*1だし。しかも忠実なのはカットとかシーンだけで、意味的な部分はほとんど引き継いでないとかもスゴイ。敬意をあんま感じないオマージュ。
笑いどころはオマージュ以外にも満載ながら、全編人体損壊シーンのオンパレード状態なのであんまゲラゲラ笑うわけにもいかない。なんだろ、これがバーホーベンなら一緒にゲラゲラ笑えるんだが、スピルバーグは素だからなー…。そのくせ、なくてもいいのにラストで軍がウォーマシン*2を撃退するシーンを入れて、アメリカ軍(とアメリカ国民)に媚びてみせる計算とかは忘れない商売人っぷり。
面白いところもある。
というか、前半部は怪獣映画としてムチャクチャに面白い。最初の15分だけでハリウッド版ゴジラを軽く陵駕。親子のクソドラマとかいいから、ひたすらウォーマシンの無敵っぷりを、ヤヌス・カミンスキーの素晴らしい撮影で2時間見せてくれたら、『スターシップ・トゥルーパーズ』を超えるカルト映画が誕生したのに…、と思うと残念だ。

*1:「前の映画だと円盤から手が出てクタってなったんだよね」とか、かみさんに解説してたらそのまんまだったり。

*2:なぜかこの映画では「トライポッド」と呼ばれているが、53年版と違い原作…というかパウル版のデザインにかなり忠実なのが嬉しい。LXG版にも似ている。