同日同刻

太平洋戦争、最後の15日間の方。原爆の描写に相当な頁数が割かれている。
いま現在においても、大多数の米国民は広島、長崎で被爆した人間がどうなったのか、ほとんど知っていない。その彼らが世界の警察官を標榜するのだから、まさに彼らの敵に災いあれ、だ。もちろん日本人も、南京で何が起きたのか、731部隊は何をやったのか、感情を排して事実を究明し、歴史として受けとめる必要がある。「相互理解*1」が戦争という手段を遠ざける唯一の方法なら、現代はまだまだ戦争の火種にこと欠かない時代なのだろう。単純な性善説性悪説で片付けることなく、「同胞」ではない個別の「隣人」との付き合い方を、互いに見出すことが理想の「外交」というヤツなんだと思う。
……などと、政治に興味のない俺なんかに書かせるくらい、かなりヘビーな本。「破滅への予感」を駆動するベクトルはどんどん肥大化している。これ読んだあとに『外道忍法帖』を読むと、読後感がまた変わりそう…。

*1:納得、は無理としても。