6ステイン

とりあえず3篇。「いまできる最善のこと」はコンパクトにまとめた福井小説の王道。小湊鉄道ネタは、実はあまりストーリーの役にはたってない。「畳算」は情念を基底とする純和風謀略小説。ベタベタなウェットさだが、この作家においては新境地かも。「サクラ」はいつものアニメ風なキャラが気になる浅草アクション。
短篇特有の問題が気になった。長編では、結構あり得ない設定を膨大なエピソードの積み重ねで、ある意味力技で成立させている(ローレライの「イ507」の出自なんかが好例か)が、短篇では設定が設定のまま、ヘタすると説明台詞でゴロンと出てくるから、どーしても「ンなアホな」な印象がつきまとう。
そーゆー意味では、そのへんの説明を最初っから端折れる外伝モノ、スピンアウトモノは、作者の資質に非常にあっているのかも。