28日後

ダニー・ボイル。なんとはなしにガイ・リッチーあたりとおなじよーなイメージだったのだが、ボイルとリッチーは似ても似つかない映像作家だった。単にデビュー作が「ポスト・タランティーノ!」と宣伝された、程度のつながりしか思いつかん。
で本作。コントラストの強い映像がまず目を惹く。そして独特のリアリズム。ストーリーはイギリスSF王道、ウェルズ直系の侵略SFだが、その描写はウェルズよりウィンダムに近く、息苦しいまでのサスペンスを与えてくれる。そして人物はあくまで現代のボンクラ青年。その状況でのリアリズムと詩情の混交が面白い。
前半が変わった映像のゾンビ映画、後半が『シャイニング』とかのシチュエーションホラー、という2部構成で、残念ながら後半は前半のサスペンスに敵わない。劇場公開版のエンディングをあとから見たが、確かにこれが正しい終わり方ではあると思うものの、やはりこのDVD版の方が「作品のトーンを裏切る」というツイストがある分、ややパワー不足な後半のオチとして適切だろう。