ゲームの魔法

没入感、と言い換えてもいい。その没入感を生み出すのが魔法で、大抵は期限つきだ。というか、完全に神経を乗っ取るタイプのVR(MATRIXのアレとかね)は、無期限に拘束し生活に支障をきたす、禁断の魔法といえる。人によってはMMORPGがこれにあたるかもしれない。
この魔法は、ゲームの面白さとは直接は関係しない。コンビニか高級レストランかで同じ食べ物の味が変わらないのと同じである。そこを、より「旨い」と思わせるための魔法は、例えば食前酒や前菜であったり、例えばきれいな食器、落ちついた店内、行き届いたサービスであるだろう。
同じ発想がゲームにも言える。ゲームの前にムービーを流したり、グラフィックをきれいにしたり、至れり尽せりなオプションがあったりする。
その結果どうなったか。
残念ながら、「食う気のない客までレストランに呼び入れた」「腹いっぱいになった客にさらに食わせた」という状態になっている。これは魔法のマズイ使い方だ。ドラえもんの道具よろしく、使い方を誤れば自分が苦しむハメに陥る。
解決策は比較的簡単で、魔法の使いどころを限定すればいい。「食べるのに集中させる」を優先し、「たらふく食べさせる」や「雰囲気で酔わせる」を排除すればよい。問題は、これをやってしまうといままでいた客の相当数を逃してしまうことで、作品によっては半分〜9割にも登りそうだ。ゲーム会社にその決断が下せるか、といえば間違いなく下せないだろうが、作っている人間の意識がそちらを向いていれば、徐々に状況は改善される(会社の業績は悪化するかも知れないが…)のではないか。
まぁ最近は雑誌の評価を鵜呑みにするグルメも多いから、この手を使うのはもう手遅れかもしれない。