巌窟王

カミさんが一気に読んだそうなので、つられて一気読み。子供向けの抄訳だから展開が早い早い。数時間で読了。大体聞いた通りの話だった。
俺の好きな本だとやはりベスターの『虎よ!虎よ!』、ウールリッチの『喪服のランデヴー』が、単に復讐譚であるという以上に多大な影響を受けているようだ。ただ、本家のエドモン・ダンテスと違ってこの二作の主人公はまったく別人格といっていいほどの変貌を遂げるが……。あと、主人公が独力で復讐を果たす二作と違い、本家は彼を導き、巨額の富を授けるファリア神父や多数の協力者がいる。このへんも個人主義が浸透した現代アメリカ人(と括っていいのかは置くとして)と、1800年代のフランス人との差なのかもしれない。