ラストサムライ

誰も言わないんなら俺が言ってやる! 日本人はこんな映画で喜んでるんじゃねェ!!
とか吠えてますが、実はそんなに悪い映画でもないです。日本人の価値観が激変した明治という時代、その捨て去った価値観をいま、見なおす必要があるのでは? というテーマは外国映画でやられたのが悔しいほど美味しいネタだが、失笑ものの演出はともかく、キャラクターがどーにもウソ臭い。
とくに、最後の戦の意味がまったく分からない。トムと謙のずさんな作戦の合間にも、貴重なサムライが無駄死にしてますよっ!? 「誇りある死」を求めるあまりに他人を巻き込むのは武士道ではない。ただの死にたがりだ。
結局のところ『ダンス・ウィズ・ウルブス』と同じく、異文化を物質主義で冒しまくったアメリカが、いまさらながら精神主義を賛美するフリをして、実質、自己啓発を交えてエキゾチズムを楽しむエセ芸術映画にしか見えん。
オマケ映像によると真田広之は随分ディティールに口を出したようだ。根本がオカシイ脚本はどうにもならないが、映像や日本語セリフに違和感が少ないのは、時代劇の申し子たる彼の功績といえそうだ。といっても鳥居の奥に寺があるのは意味不明だが。『パールハーバー』といい、鳥居好きだなアメ公。
本作の結論は、「機関銃最強」ということで。