リーグ・オブ・レジェンド

ブレイド』で久々に「おおっ!」と思わせたスティーブン・ノリントンの次作、『リーグ・オブ・レジェンド』を観る。この人やっぱアクションシーンはうまいなぁ。ネモ船長カッコ良過ぎ。もういい加減アクションは無理だろ、なショーン・コネリーはしょうがないとして、他のキャラはかなり動いてる、ように見える。
お話はコネリーが前に悪役で出てた『アベンジャーズ』を彷彿とさせる。つかコネリー翁、実はこーゆー話に目がないのか!? ノリントンは世界を救うヒーローなんかにゃ興味なさそうだが、何度も言われた監督と主演男優の不仲説には、そのあたりも関係してるのだろうか。
設定が凝ってるのは原作の力だろうが、多彩なキャラにまつわる膨大な設定とエピソードを追うのに忙しく、本来原作が持っていたであろう深みを出すヒマもなく2時間が終わってしまった感がある。素材は最高だが料理の途中で出されるレストランと言うか。ラストは続編を意識させるが、このテンポで続編を作るくらいなら2本に分けたほうが良かったのでは。
ここからは映画を離れて設定の話をば。
やはりアラン・ムーア原作らしい、巧みで緻密な設定と現代に通じるテーマが根底にあるように思う。単に有名な小説のキャラクターを出すのみならず、「原作以後」のキャラクターの生活と、内面の変化をキチンと踏まえているようだ。クォーターメンはアフリカの英雄ではあるが、外国を侵略し植民地としたイギリスの罪を背負う立場だし、インド人のネモ船長はそれを告発する立場である。そして映画でもほのめかされる世界大戦の足音。世界中を巻き込んだ戦争の火種は、植民地政策であり、それを世界で最初に打ち出したイギリスである、と言わんばかりだ。そして現代においても、例えば一方的な正義を押しつける米のイラク政策などに、その告発は力を持つ。
映画は人間関係とかキャラの深みとかがまったくないが、原作のコミックスが発売されるらしいので、チェックしときたいところ。『WATCHMEN』のムーアなら、ミナ・ハーカーとドリアン・グレイの関係とか、もっとディープな人間関係を見せてくれるだろう。