マトリックス・リローデッド&レボリューションズ

ウォシャウスキー兄弟脚本・監督の『マトリックス』2作目と3作目。「運命」を不確定性原理的に捉える禅問答が、ハデハデVFXアクションを観に来た観客の眠気を誘う。
単発の作品として成り立たない「リローデッド」、また三部作の完結編として落第点な「レボリューションズ」ともども、娯楽映画として極上に楽しかった前作に比べ、思いっきりレベルが落ちたと言わざるを得ない。
んでは、どこに見どころがあるか? と言うと、やはり「SF」映画としての部分。前作がサイバーパンクの多分ハリウッド初のまともな映像化作品だったもんだから、今回もその路線……ではなく、いきなり機械と人類の共生、というテーマをぶっ立てたのは驚き。まぁ確かに、前作のラストからそのまま続けると『ターミネーター』の1から2とまったく同じハナシになってしまうので、さすがに考慮したのだろう。
で結局、機械と人間の共存はなされたか? その疑問に実はこの映画、答えていない。機械側が歩み寄りを示したところを描きながら、人間側は唯一インターフェース無しで機械とコネクト出来たネオを失い、機械との断絶で終わっている。このままだと結局世界はなにも変わってない(蓑虫状に発電設備にされてる人々もそのまんまだ)し、ヘタするとまた「1」と同じ展開が待っているかもしれない。これではなんの映画かさっぱりわからん。
というわけで、兄弟はこれで完結したとか言わずに、人間側のその後のアプローチを描き、マトリックスと現実とを自由に行き来する人間/機械が出てくる続編をつくってもらいたい。ANIMATRIX2でもいいので。