WXIII 機動警察パトレイバー3

はっきり言って全然パトレイバーではないが、映画3作のうち一番面白かった。
マンガでも絶妙な「間」を見せるとり・みきのタイトな脚本がまず素晴らしく、またその意図を十全に汲み、さらに押井守とも異なる視点で、実写映画でもかくやというディティールを積み重ねた緻密きわまる演出が、また素晴らしい。意識したのだろうが、ちゃんと『野良犬』になってるのもアニメとしては快挙。
キャラ立ての方法論がまったくアニメ的でなく、また作劇がまったくハリウッド的でもない娯楽映画というだけでも、日本映画の奇跡と言っていいかもしれない。テーマの絞り込みやテンションの上昇加減など、古きよき邦画のような重量感を失わないのもスゴい。『雨あがる』なんかに近い味わい。
難点はとにかく地味なこと、前2作より明かに金がかかってない(=動いてない)こと、怪獣映画のクライマックス的な画がないこと、特車2課やロボが浮いてること位だろうか。でもパトレイバーだと思った人は裏切られた(あの世界に「アニメ」のキャラ立ての人がそんな出られるワケはないのだが)だろうし、意外と不幸な映画かも、これって。音楽もほぼないし。