アパートの鍵貸します

ワイルダーの名作(らしい)をやっと観る。確かに名作。なにより、脚本がメチャメチャに上手い。ストーリーポイントの巧妙な織り込み方、伏線の張り方と回収し方、キャラクター配置の妙、そして吟味された台詞。優れた脚本のお手本ではないか。
ラストのシャンパンと拳銃、手鏡などの小道具の使い方の上手さに至ってはまさに名人芸。劇中何度「うまいなぁ」と唸らされたことか。
演出は見える範囲では、正直いって並。やたら芸達者なジャック・レモン(やっぱ『ミッシング』と同一人物には思えん…)は言うに及ばず、シャーリー・マクレーンの眼の演技が素晴らしい。これも演出家の力なら、やはり一流の演出家の仕事なのだろう。