妖説太閤記

読了。老醜さらす秀吉に対して容赦なく筆を振るう山風の恐ろしさよ。
圧巻は延々10ページ以上に渡って続く、関白秀次の愛妾29人の斬首シーン。ここだけ『人間臨終図鑑』が混じってるかのような、凄絶かつ鬼気迫る内容にして、淡々と死を綴る文章は、まさに作者の独壇場だろう。そう、読者の「背に冷たいものが流れ」るシーンなのだ。
巻末の「人と解説」は、なんの解説にもなってない上に全然違う話(石川英輔とかの水滸伝研究を紹介しただけじゃねーか)になっている。この評論家には斬首を命じたいところ。